第二章 死の森

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  『ギャア!ギャア!バサササ………』 「ぅわぁぁ!」 「兄さん!あんなのただのカラスだよ!」 「わ、分かってるけど………」 先程までエドワードは森への意気込みを語っていたが、森へ入った途端、さっきからこうして、物音にさえびびって情けない声を出していたのである。  一方アルフォンスは、先程とは違って、偉く落ち着いている。 情けない兄の姿を見て、弟のアルフォンスは、半ば呆れ顔をしていた。  これではどちらが兄だか分からない。  「そんなんじゃ、いつまでたっても賢者の石の資料は見つからないよ?」 「あぁ……」 そもそもエドワードとアルフォンスの二人がこの森に来た理由とは、たまたま腹ごしらえで寄った飲食店のおじさんから、ユリウス村にある森の中に賢者の石の資料が埋められているという情報聞いたからなのである。 しかし今の二人は、とても『肝心な事』を忘れていた。  「……兄さん……」 「何だ?」 そしてアルフォンスはその『肝心な事』に気付き、エドワードに、ハッとしながら問いだした。  「賢者の石の資料は、埋められてるんだよね?」 「ああ。噂によるとな。それがどうかしたのか?」 「じゃあさ、どこを掘り返せばいいの………?」  「………あ………………………」 一瞬、その場に沈黙が流れる。  「あ、じゃないよ!!土から掘り起こすんだから、スコップと地図がなくてどーすんのさぁ~~~~!?」 「そんなのオレが知るかよ~~~~~~!!!!てか、スコップは木と石から錬成すりゃなんとかなる!!!」 予定外の出来事に混乱する二人。と、その時。  「あ!!地図発見!!やーりーぃ!」 「え!?」 見ると二人の前方に、不自然に地図が置かれてあった。   
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