第二章 死の森

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        「……あれ?ここ……」 「どうした?アル」 だいぶ歩き、日も傾き始めた頃、突然アルフォンスが辺りをキョロキョロと見回しながら声を発した。 そんなアルフォンスの姿にエドワードは気付き、どうしたかと尋ねる。 「……ここ、さっきも見た事ある気がする………」 「嘘だろ?そんなことあるわけねーだろ!森の中なんかみんな同じ風景だしさ」 しかしエドワードは、アルフォンスの言葉を否定する。だが、アルフォンスは兄の言葉に納得がいかず、 「そんなはずないよ!だって……」 と、前方を指差す。 「え……?」 エドワードもアルフォンスの指差す方向に顔を向ける。 そして…………、 「………落とし……穴……………?」 「だよね………?あれってさっき、兄さんが落ちたはずの…………」 何とエドワードとアルフォンスの二人は長時間歩いたにも関わらず、かなり前に見たはずのあの落とし穴のところまで、ぐるりと一周して戻って来てしまったのである。  「嘘……だろ………?」 エドワードは、さっき発した言葉とまた同じ言葉を発する。 しかし声のトーンは先程より低く、弱く、小さい。  死の森に入ってまだ一日目。だが、エドワードとアルフォンスの二人は、すでに死の森の罠に填まってしまっていた。 「……もう、暗くなってきたよ………。ランプ、点けようよ………」 アルフォンスが、ショックを隠せないでいるエドワードに向かってそう言う。 「………」 しかし、エドワードは前方の落とし穴を見つめたまま、ただ呆然と立ち尽くしている。 「兄さん……」 そんな兄の姿を見て、アルフォンスも心配そうな顔をする。 「……アル…」 「え?」 すると、ふとエドワードが声を出し、アルフォンスの事を呼んだ。  「次からは、ちゃんと木に傷を付けながら進もうな!」 「に…、兄さん……!!」 明るく不敵な笑みを見せ、エドワードはアルフォンスに力強くそう言った。  そんなエドワードの姿に、アルフォンスも元気になる。 「うん!そうしよ!その方が道に迷いにくいしね!」 「だろ?そうと決まったら早速……!」 そう言いながら、エドワードはランプに火を灯した後、右腕の機械鎧(オートメイル)をナイフに錬成して変形させ、アルフォンスと共に、次々に木に傷を付けながら歩いて行った。 一方その頃………。        
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