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「っ!!まただ!!また聞こえた!!アル、今度はお前にも聞こえたよな?」
「うん!……誰だろう?ボク達以外にも誰かこの森の中にいるのかな?」
「そんなわけないだろ?あんなに恐れられてる森なんだぞ!そう簡単な気持ちで、この森に入ってくるヤツはそうそういない。それにあの声……、人のような感じがするけど、やっぱり獣の声だ。響いててよく分からないけど………」
討論するエドワードとアルフォンス。
そしてエドワードは、ランプに目をやり、アルフォンスに言った。
「……ランプ、消しとくか……?」
「そうだね……」
エドワードの左手に握られたランプはフッと息を吹き掛けられ、小さな湯気を立てて消えた。
エドワードの右腕は、いまだにナイフのままだ。
ずっと歩き続けながら木に傷をつけて来たらしい。
そのナイフを今度は鋼の刃へと錬成で変形させ、しっかりと顔の前で構える。
「……」
「……」
そして二人の視界は、徐々に暗闇に慣れていく。
真っ暗な死の森の中、エドワードとアルフォンス、二人の緊張が走る。
「……少しずつ、進むか………?」
「……そうしよう……」
決断を下した後、ジリジリと二人は前へ進む。
「……」
少しずつ前へ進むたび、ガサ、ガサ、と二人の足下の草が小さく揺れ動き、音を鳴らす。
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