第1章

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  「先輩!いつ退院されたんですか?」 「昨日」 「おめでとうございます」 「ありがとう」 美優の久しぶりの登校 制服に袖を通し、教室まで歩く途中、後輩達に囲まれる 「松下、おはよう」 「…おはようございます」 「退院おめでと、病院まで行けなくてごめんな」 「いえ」 「具合どうだ?」 「いつも通り」 「そっか…受験もあるし、無理するなよ」 「はい」 それだけ言うと美優を通り過ぎるのは担任の国見大地 「…大地くん」 消え入りそうな声で呟く 振り返っても大地はもう教室に入ってしまい、その呟きは生徒達の声にかき消された 中学3年の夏休み直前 本当は受験で入院してる場合じゃない 教室は受験モード一色でピリピリしてる 「はよ。美優、これもらった?」 「おはよ、何?」 「三者面談の予定表。夏休み入る前に全員終わらせる~って大ちゃんが」 同じクラスの幸斗が全員の予定の入ったプリントを持ってくる 「もう予定いっぱいじゃん」 「美優んとこは大ちゃんが直接行くんじゃね?」 「ああ…」 ピシッと机にプリントを叩きつけると机に腰を落ち着けた
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