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「退院おめでと~」
「ありがと。もう病院て本当暇。ゆっくりできたけど」
双子の家
美優、葵が集まり、双子の両親と共に6人で食卓を囲んだ
「良かったわね、すぐ退院できて」
「うん、2人ともお見舞いありがと」
「ううん、当たり前でしょ、美優も葵も家族みたいなものだもの」
その言葉に顔を見合わせ、両親が頷き、笑う
そして詩織、幸斗が一緒に微笑む
それに俯くのは美優と葵だけ
「…あんまりにもヒマだったから、曲作りまくったし。バンドまた再開しようね」
美優の言葉に葵、詩織が微笑む
「俺も入れてよ」
「メンバーはもう足りてるよ」
「幸斗はダメね~足手まといになっちゃうじゃない」
「葵、母さんまで」
笑いの絶えない食卓、家庭
ここに来るといつも居づらくて涙が出そうになる
古傷が何度も何度も疼いて
いつものように客間に詩織、美優、葵、3人並んで横になる
目が覚めたら、あの日常に戻る
ワンフロアーの広いマンションの一室に葵以外の人の気配はない
生活感のない部屋に浮き上がるように笑うカップルの写真
15年前から何も変わらない部屋
住宅街に建つ2階立ての一軒家
「ただいま」
ここにも美優以外の気配はない
奥の襖を開け、正座し、手を合わせる
仏壇には笑う両親
ガランとした2人の家にあるのは静寂と孤独だけ
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