第二章

2/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
一人走る女がいた。 息はきれて、街中を走っていた。 彼女の目には涙を浮かべながら。 そう、彼女が向かった先は病院だった。 病院の中に入ると彼女は、息をキラしながら、受付に向かった。 「すいません。先程運ばれた栗原優士は、どこでしょうか?」と、たずねた。 受付の人はパソコンで調べた。 そして調べた結果を見て驚きを隠せず、動揺しながら、答えた。 「栗原様は、、、 先程、お亡くなりになりました。 今は霊安室の方に 御遺体の方があります。」と案内をした。 女は固まった。 何も喋れなくなり、ただ固まった。 「大丈夫ですか?」受付の人が心配そうに語りかけた。 ふと、女は我に還った。 「あっすいません。 分かりました。」と 不安な顔で受付を後にした。 女は、ゆっくりと、目には涙を浮かべながら霊安室へと、歩いた。 霊安室の前には、優士の両親が座り、母親は泣きじゃくっていた。 両親が彼女に気づくと、止まない涙を我慢して言った。 「良く来てくれたわね。優士、中にいるから、会ってあげて。」と、女の肩を押した。 ゆっくり歩き、霊安室の中に入ると、そこには、ベッドの上に横たわる、優士が寝ていた。 顔には白い布を被せてあったが、優士に間違いないと心で分かった。 「優士。優士!!」と、名前を呼びながら、近づいていった。 白い布を取ると、そこには顔が青ざめた優士がいた。 女は優士の顔を見ると、大きな声で泣きながら、叫んだ。 「優士!何寝てるの? 起きてよ。起きてよ!優士。 お願いだから起きてよ。」 「優士!!!」 彼女は、澤田 雪、 19歳。大学1年生だ。 優士とは高校時代から付き合っていた。 そんな二人の、奇跡とも言える、物語だ。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!