第三章

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優士は立ち尽くしていた。 顔は悩みに悩んでいる。 「俺は本当にどうしちゃったんだろう? 」 すると部屋のドアが開いた。 お母さんだ。 「あっ!母さん。 俺はどうしたんだろう?」と、母親に尋ねるが、母親は何も返事をせず、まったく、優士には気づいていなかった。 「なぁ、母さん。 無視するなよ。母さん!」 優士は何度も呼び掛けるが母親は優士には気づいていない。 そして母親は黙って仏壇の前に座って、 語り始めた。 「優士。あんたが亡くなって、何日も経ったのに、私はまだ優士のいない生活にはなれないよ。 優士の小さかった頃を最近は思い出しちゃうんだよ。 優士が産まれて来た時の事、優士が小学校に入学した時の事、運動会で、お母さん、僕カケッコで一番になるからね。って言って、本当に一番になった事。 それに、、、」 母親は泣き崩れてしまい、その後の言葉は言葉になっていなかった。 優士はそんな母親を見て、静かにその場を後にした。
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