第三章

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何分、いや、何時間経ったろうか? 優士は深い眠りに入っていた。 すると、優士の夢の中に、一人の女性の顔が映しだされた。 「誰?誰なんだ。 こっちを向いてくれよ。」夢の中で必死に、女の子に語りかけている。 だが女の子は優士の方を振り返ろうとはしなかった。 そして優士のいる所からどんどん離れていく。 「待って!待ってよ!」と優士は走り、彼女の肩を掴んだ。 すると彼女は優士の方を向いた。 優士は彼女の顔を見て、即座に優士は彼女を抱き締めた。 その彼女は、優士の付き合っていた雪だったからだ。 振り返った雪は、目に涙をためて、泣いていたんだ。 「雪。直ぐに逢いに行かなくてごめんね。 自分がどうなったのかで、動揺しちゃって、雪の事まで考えられなかったよ。 本当にごめん。」優士は雪を抱き締めたまま、優しく声をかけた。 優士の目にも涙をためて。 だが雪は何も優士には言わなかった。 雪は優士に、ただ抱き締められたままだった。 「雪?何で何も言ってくれないんだ。 声を聞かせてくれよ。頼むよ。雪!!」 優士は強く、涙をこらえて雪に、語りかけた。 その時、優士の後ろから、声が聞こえた。 「その子は何も話さないよ。」 優士は驚き、後ろを振り返った。 そこには、背の高い、変わった格好をした一人の男が立っていた。 「だ、だれですか? 何故雪が喋らないなんていうんですか?」と、優士は謎の男に聞いた。 すると謎の男は口を開いた。 「何故喋らないか分かるのかだって。 分かるからだよ。 そんな事より、優士。君こそ、何でこんな事になってるか、分かるのか。」 と聞き返した。 「何故あなたはわかるんですか。 俺にはさっぱり分からないですよ。 あなたは本当に誰なんですか。 何か知ってるなら教えて下さいよ。」と、優士は不安そうに言った。 すると、謎の男が答えた。 「そうだろう。何もわからないだろ。」と言いながら、謎の男が、手を、雪の方に向かって 伸ばした。 すると、雪は優士の前から消えてしまった。 「雪! 何するんだ!雪を何処にやった! 雪を戻せ!」と、謎の男に詰め寄った! 「だから、俺が幻覚で出した、君の彼女だから喋らなかったんだよ。」と、優士に言った。
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