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漆黒の闇に包まれた広い空間。光でさえも飲み込まんとしているこの場所には一見、何も無いように思われる。
だがその空間の中央に赤い光を放っている魔法陣があり、その光に照らされることによって様々な物が存在していることが分かった。
気味の悪い形の机、怪しい液体が入っている大量のフラスコ、そして何よりも目を引くのが壁に立て掛けられている巨大な鎌である。
そして魔法陣の近くには漆黒のローブを纏った人物がいた。ローブと同じ黒いフードを深く被っているため、その表情を伺うことはできない。
「時は近い。覚醒の時まで、あと……」
声の低さからして、おそらく男だろう。
その男はどこか嬉しそうにそう呟くと、僅かに視線を上げた。
その男が見つめる先には、真青な砂がサラサラと落ちている巨大な砂時計があった……。
一つの大きな物語が、今まさに始まろうとしていた。
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