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この皇子の悲劇は、後の万葉歌人にも伝わりました。
それは同情と哀感をもって。
人々は有間皇子を偲んで、様々な歌を残しています。
磐代の 岸の松が枝
結びけむ 人は帰りて また見けむかも
(巻二・一四三 長意吉麻呂)
磐代の岸の松の枝を結んだというお方は、ここに再び帰り、この松を見ることが出来たのだろうか
磐代の 野中に立てる 結び松
心も解けず 古思ほゆ
(巻二・一四四 長意吉麻呂)
磐代の野中に立っている結び松よ、お前の結び目のように私の心は塞ぎ結ばれて昔のことがしきりに偲ばれる
後見むと 君が結べる
磐代の 小松が末(ウレ)を また見けむかも
(巻二・一四六 柿本人麻呂歌集)
帰りに見ようと結んでおかれたこの松の梢を、皇子はまた見ただろうか
長くなってしまいましたが、この話に載せた2首の辞世の歌と訳を次ページに、有間皇子を中心とした年表をその次のページに載せて、作者の呟きを終わらせて頂きます。
今後もお楽しみ下さい。
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