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その日からというもの、都は慌ただしかった。
十三歳の少年は見た。
沢山の臣下が父に暇を申し出、都を去っていくのを。
大半の皇族が、父を置いて都を去っていくのを。
お前も来い、と言った兄である皇太子に従って、皇后までもが都を去っていくのを。
暫くすると、都には嘘のような静けさが訪れた。
父は何も口には出さなかった。
しかし、その表情から嘆きを拭い去ることは出来なかった。
父は、皇位を皇太子に継承したいと申し出たが、それが受け入れられることは無かった。
父は嘆いていた。
「父上……?」
「あぁ、お前か……」
溜め息をついた天皇の元に少年が近づいた。
父は息子の頭を撫でると、小さな声で言った。
「お前は、皇位を継いではならん」
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