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一度火事で焼かれたこのビルは人の目に留まることもなく、ひっそりと立っていた。
黒く焦げた壁も、折れかかった柱も、このビルの全てが『死にたい』と叫んでいるようだった。
そもそも何故僕が死を決意しているかというと、話しは一ヶ月前に遡る事になる。
僕はどこにでもいるような平凡な高校生だった。
勉強はそこそこ。
運動は余り得意な方ではない。
友達は多くもなく少なくもない。
いわゆる、『普通』の高校生だったのだ。
端から見れば。
実際は日々人に気を遣い、嫌われることに怯えて自分を偽っていたんだ。
極力目立つような行動は避け、誰の目にも留まらないようにしていただけだった。
僕は卑怯だ。
自分に嘘をついて他人を騙す。
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