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梨恵は肩をすくめた。
「だから、颯恵さんには言っといた方がいいかなって」
僕が返事をする前に颯恵が僕たちの前に歩み寄ってきた。
「あんたたち、何こそこそ話してんのよ。あ、梨恵の友達くん梨恵のこと口説いてたんでしょ」
「あ、いや」
梨恵がたじろぐ。
颯恵はニイッと口角を上げて僕に抱きついてきた。
「梨恵はそんな簡単に落ちないわよ。それに、私の教え子なんだから、口説くんならまず私を口説きなさい」
・・・・・・よく分からない理論だ。
いや、そんなことはどうでもいい。
とりあえず顔が近い。
いくら僕が舞川梨恵だからって抱きつかれるのはなんだか心臓に悪い。
僕は間近で笑う颯恵を感じながら、梨恵に助けを求めた。
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