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僕は意外とあっさり僕と梨恵の話を信じてくれたことに安堵し、僕の隣で『僕』とついさっき会ったばかりの人が笑い合っているという不思議な光景に思わず苦笑した。
その笑顔を見ていると、なんだか二人の信頼関係の深さがひしひしと伝わってくるようでいたたまれない気持ちになる。
僕には、こんな風に笑い合える友達がいない。
颯恵の仕事の立場上、二人を友達と呼んで良いのかは定かでないがこの笑顔は、本当に信頼している人にしか見せないものだろう。
颯恵は金色の髪を風に任せて揺らし切れ長の目を細めて笑っていた。
僕は居心地の良い空気に浸りながら、沈んでいく太陽と影が伸びた街を眺めていた。
朝に家を出たはずなのにもう太陽が沈もうとしている。
余りに早すぎないか。
いや、きっと僕の時間の感覚が少しばかりおかしくなっているだけだろう。
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