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そう言うと梨恵はおでこを押さえている僕にウインクしてじゃあね、と手を振り僕の家に消えた。
閉められたドアの前で、僕はまだ何か忘れていることがあるような気がしてしばらくその場で腕を組んで頭を捻ったが実りはなく、仕方なく梨恵の家に向かって歩き出した。
今日は何だか、一日がすごく早く過ぎた気がする。
それは、常識を越えた不思議な体験をしたからか。
それとも、久しぶりに目的を持って過ごしたからか。
どちらにしても僕は今日の事を忘れないだろう。
たとえ天国に行ったとしても。
僕が自殺したビルを目印にして角を曲がり、梨恵の家を目指す。
その足取りは軽かった。
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