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僕は次第に早くなる鼓動を感じながら、梨恵にこの母親の事を聞くのを忘れていた事に気が付いた。
少し後悔したが、また明日にでも聞けばいい、と開き直る。
とりあえず今は目の前の女性の生死を確かめなければ。
おそるおそる母親に近付き、その肩に触れてみる。
・・・・・・温かい。
しかし、目を開ける気配は微塵もない。
そのまま肩を揺すり、母さん、と呼び掛ける。
僕と梨恵の母しか居ない家にその声が虚しく響いて消える。
全く反応しない母親に、僕がいよいよ最悪のケースも覚悟しなければならないのかと身震いしたその時、突然母親が顔を上げた。
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