心に吹く風

12/19
前へ
/159ページ
次へ
僕はその顔を見てゾッとした。 人とは思えない程の青白さ、いや、青白いを越えている。 昔、こんな顔を幽霊が出てくるホラー映画で見たことがある。 目が動いた。 その視線は僕を完全に無視して宙をさまよっている。 僕は怖くなり、足音をたてずに移動してとりあえずこの場から離れようとした。 しかし、その足はすぐに止まった。 僕は凍りついた。 母が、母の体から出ていた。 幽体離脱と捉えていいのだろう。 青白く不気味に光る母の体が、机に頭を付ける母の体から半分出ているのだ。 ・・・・・・まるで蝉の脱皮のようだ。 僕は警戒しながら母に近づいた。 僕は更に驚愕した。 青白い方の母の体を通してキッチンが見える。 その体が、透けている。
/159ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加