さくら さくら

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川沿いの土手にある大きな桜の木。 私は桜の木までおもいっきり走り、桜の木の前で立ち止まった。 桜の木 桜の木 お願い 私の歌声届いて 私の願いを叶えて 桜の精霊 私の願いを叶えて 「ねぇ、あの子。 またあの桜の木の下で歌ってる」 「あーあの子……ほら、内藤さん家の娘さん!」 「あー、内藤さん家のぉ……」 世間話が大好きなおばちゃん達が私の話をしてる。 「可哀相よね、あの子……」 可哀相なんて本当は思ってない癖に。 「まだ10歳だったかしら?」 ひそひそと話してるつもりだろうけど、私には丸聞こえなんだよ。
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