怒りの果ての過ち

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「ふぅ……」 今、家の中を一生懸命掃除する桃色の短髪の少年。 彼がシムクだ。 家には両親と妹がいるはずだが、三人とも出かけている。 要するに、シムクは雑用係をやっているわけだ。 掃除の後にも洗濯、料理、庭の草むしりなどをしている。 しかもそれを毎日繰り返している。 「次はっと……物置の掃除か」 正直、雑用というより奴隷に近いかもしれない。 両親も非才な人間だが、シムクはもっと非才な上、天才少女のキルがいる。 その為か、ずっと前からこんな扱いだ。 その上、両親にはもちろん、妹であるキルにまで敬語を使わなければペナルティを受けることになる。 家事でヘマをしても、ペナルティを受ける事になる。 ペナルティの内容は、食事を与えない、妹のためのサンドバックなどと、残酷なものばかりだ。 そのため、シムクの体には常に傷が数え切れないほどある。 治療などもしてもらうわけもない、傷を直すには自然回復しかない。 「いつっ!!昨日の傷がっ……」 つまり、いつ死んでもおかしくない状況で彼は生きている。 むしろ死んだ方が楽なのかもしれない。
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