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―ー「ゴーストタウン」―ー
それが私たちの町の通称。本当の町の名は当の昔に消え、子供はもちろん、大半の大人でさえもう覚えている人はいない。
私の住んでいる町は1年のほとんどが雨だった。晴れることは滅多になく、最後に太陽を見たのは確か5ヶ月前だ。
そのせいか知らないが、町の人はみんな暗い。
笑いもしなければ人と会っても挨拶すらない。
みんな下を向いて歩いている。
雨のせいで暗く、じめじめしているのに人まで暗くなっているので私たちの周りの町や村はこの町のことを「ゴーストタウン」と呼び始めたらしい。
私はその通りだと思っている。変わらない景色、変わらない人、変わらない日々―ー。
そんな退屈な生活。
この町の人達は、そんな毎日を送るうちに大切な"何か"を無くしてしまったのかも知れない。
そして…私も…
そしてその"何か"は戻ることはないと諦めかけていた。
そんな時、彼は私たちのところにやってきた。
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