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「じゃあ水居君、これを各委員会に配って貰える?」
「分かりました篠宮先輩。では行ってきます!」
今智樹に書類を渡した女子生徒は篠宮 由香里(シノミヤ ユカリ)。彼女は、肩まで伸ばした髪をソバージュにしている。常に笑みを絶やさず、口調もどこか間延びした、おっとりとした少女である。
だがそれだけではない。現在、生徒会の書記を務めているが、それとは別に、各委員会や有力クラブ、果ては教職員の間まで個人的なコネを有している。
その情報網は2年にして学園最大とさえ噂され、絶対に逆らえないような雰囲気であるのだが、智樹は特にそのような感情は抱いておらず、むしろ尊敬している。
「……ふぅ、やっと終わった」
作業を終えて生徒会室に戻ろうとした智樹は何かおかしな気配を察知した。
(――なんだ? ……この気配は……悪霊か?)
智樹は気配がした場所へ急いで向かう。
気配がした教室に入ると直ぐに悪霊の姿を捉えた。
だが悪霊の中から炎が沸いたかと思うと一瞬にして悪霊の全てを燃やし尽くした。
「あなたはだれなの!? まさか悪霊を手引きしたんじゃ……」
艶やかな赤い黒髪をなびかせる美少女は疑心に満ちた視線を智樹に浴びせた。
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