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「……はぁ、まさか由香里が聞いているとはな」
溜息まじりに告げると、由香里が姿を現した。
肩を震わせ少し目が潤んだ表情で……
「……智樹? ――私達兄妹じゃないの?
じゃあ一体貴方は誰なの?」
悲痛に吐き出されたその言葉は、はっきりと智樹の耳へ脳へ伝わった。
「……俺は、……俺は……」
智樹は俯いて言葉を濁した。
そうした静寂が少しの時間続いた後――
「彼はねぇ由香里ちゃん、君の血縁であり僕の血縁でもあるんだよ」
幸成によって明らかにされる智樹の秘密。
それは彼女にとってどのような結果を齎すのだろうか……
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