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辺りは殺気に満ちていた。
寒空の下(もと)、武士と天人の戦いが繰り広げている。
雄叫びや鮮赤色の液体が、彼方此方に飛び交う。
そんな中、一人の男が先頭で戦っていた。
彼の名は高杉晋助。
少し長めの紫がかった黒短髪を揺らしながら、急症になる所を的確に狙い素早く敵を斬る。
炯炯とした瞳は、獲物を狙う鷹の如く敵を追い、また一つ屍を作った。
「キリがねェ……。」
高杉はそう呟いて、一歩身を引き、構え直し一息付く。
敵はどんどん面白いように涌き出る。
高杉は目を閉じてカッと開くとまた、返り血を浴び続けた。
仲間のお陰で敵も半数に減ってきた頃、流石の高杉も疲れを感じる。
だが、不意に敵が高杉の背後を狙い斬り下ろそうとする。
「間に合わねぇ……」高杉は即座に守りの体勢に入ろうとするが、己より相手の攻撃が僅かに速い為そう思った。
風を斬る音が響き、血飛沫が舞った。
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