序章

2/10
前へ
/384ページ
次へ
買い替えたばかりのテレビの前に置かれた、白いソファーに座ったまま、ヒロが上半身をこちらに向けて微笑みかける。 ヒロの一言は、まだ子供で、あどけない笑顔も私には若い。 でも、ヒロはいつでも私に、淡い夜明けの訪れのように穏やかな安心感を与える。 「麗魅、おはよう」と、朝が始まると、まだ眠たくて起き上がれない平凡な心地さえも、妙な愛しさに変わるのだ。
/384ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8950人が本棚に入れています
本棚に追加