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「さ、アヤ。いい加減離れろ。俺ぁ仕事で疲れてンだ。風呂にも入りてぇし、つぅか寝させろ」
土建屋は疲れっからなぁ……
でもガタイはスゴいことになったけどな。
「わかった」
…………本当に分かったンかこいつぁ?
ちなみに晩飯は喰わないよ。
喰ってきたから。
「って……風呂…………沸かしてなかったンだっけか。ガッデム」
ブチブチ文句を言いつつも俺はちゃんと風呂を洗い湯を入れた。
入れるようになるにはまだ二十分ほど必要だ。
「う~……さっむ……!!」
急いで狭い四畳の部屋に戻ると、アヤはちょこんと正座をしていた。
何をして良いかわからないため、とりあえず正座して待つ。
そんな感じがする。
「アヤよぉ、別にンな固っ苦しくしなくてもいいって。正座なんかしなくてもよ」
俺はマイセンに火を点けてふぅ~っと一服をする。
アヤは足を解いたには解いたが、まだ気を遣って座っているような感じだ。
「まぁなンつぅか……そんな気張らなくてもいいからな?これから一緒に過ごすわけだし……」
「……うん」
……何で俺が気遣わなあかんねや!?
ここ俺の家だよね?
「そいやぁアヤ、お前腹減ってねぇの?」
そう訊ねるとアヤはフルフルと顔を横に振った。
だがすぐにアヤの腹の音は、四畳の小さな部屋に響いた。
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