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彼女は少年が手に持つカッターを取り上げようとしたが、それ幸いと少年はカッターを少女に押し付けて悲鳴をあげた。
『うわぁぁぁぁ!!
誰か助けて!!
止めて…止めてくれよ!!』
少年の声を聞きつけてバタバタと真っ先に飛び込んで来たのは担任の教師だった。
『おい!
何やってんだお前ら!!
……しっかりしろ!
大丈夫か?おい!!』
二人は教師によって引きはがされて少年はそのまま庇われるように後ろに隠された。
『先生…アタシ…
アタシなにもしてな…い…』
―バシンッ―
教室に乾いた音が響いた。
目を丸くして、自分の状況が理解出来ていないかのような少女に、教師は冷たく吐き捨てた。
『おめぇには失望したよ…』
そのまま少年の肩を抱いて出て行く教師。
少年はチラリと教師にわからないように少女に振り向くと極上と言わんばかりに微笑んだ。
《さっきのは…
自分の身に迫る危険に対する
恐怖って言うよりも》
《俺が傷ついてしまう事に
怯える顔だった…》
《アハハハハッ…!!
なんて気分がいいんだろ?》
《明日からまた
白い俺と
黒い俺の二重生活の始まりだ》
《ね…?楽しみだね?》
『大好き ちゃん…』
END
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