出会いはね…

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『ヤバヤバ!遅刻するっ』 昨日はなかなか眠れなくて寝過ごしてしまった きっと今の俺、一生分の体力を使っているかも 『ハァハァ…もう少し…』 (ガシャン) 『嘘だろ…』 目の前で門を閉めるとか、有り得ない 「はい、残念!」 むっ! こいつは昨日生徒会室に居た奴だ 『開けて?』 「はい、生徒手帳!」 『ケチ…』 かばんを探り手帳を探す 『あれ?』 「まだ?」 『あれれ?無い…』 「はぁ?昨日入学式やったばかりだろ」 『でも無い…えっ、どこで落としたんだろ』 ポケットの中にもない 『もうやだ…』 力尽きて、その場に座り込んだ 帰ろうかな… 「燕羽、何いじめてるんだ?」 「胡月、遅刻だからだよ」 「ったく…八つ当たりするな」 「違うし!」 八つ当たり? なんで俺が? 「ほら、立って」 『うん』 「生徒手帳は担任に紛失届を出しておけ」 『わかった』 「早く行け」 『ありがとう』 「ちょっと、遅刻!」 「ほら、行くぞ」 「胡月」 助かったの? なんだ…生徒会にも いい奴がいるんだ やな奴ばかりかと思ってたのにな… 教室に着くと、担任が 声をかけてきた 「昼休みに生徒会室へ 行きなさい」 『えっ…ヤダ』 「会長に頼まれたから、必ず行きなさい」 『……はい』 「もしかして、生徒会のお誘いかも知れないな」 『嬉しくありません』 「いいか、生徒会役員になれると言う事はとても名誉な事なんだ…私の 受け持つクラスから役員が出たら…とにかく必ず行くように」 『はい』 なんなんだ? ボーナスでもアップするのか? 教室に入り席に着いて 机の中に教科書をしまう 『えっ…?』 何これ… 絶対見たくないし 触りたくないものだと 直感した 誰だよ… 嫌がらせにもほどがあるだろ てか、どうしてこんな事を? 休み時間になるのを待ち、ティッシュで机の中に入っていた物を取る 『学校でやるなっての!』 気持ち悪い… ありったけのティッシュで包み、トイレのごみ箱に捨てた 『なんなんだよ…』 ムカつきながら何度も手を洗っていたら、悔し涙が溢れてきた
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