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気がつくとそこにいた…
何も無い荒野…
荒廃した…というよりも元からそうであったかのようだ…
そこに佇む一件の古めかしい建物。
「…ここ…どこだ…?」
当然答える者は居ない。
「これ…何だ?」
目の前の建物を指す。
答える者等居ないと分かりながらも疑問を投げかける、そうでもしないと不安だった。
僕の名前は「駿介」、それ以外に何も思い出せない、何をどうやってここに来たのか、何を目的にここまでたどり着いたのか、それすらも分からないままここにずっと立ち尽くしているのだ。
僕は何故、こんなところに居るのだろう…
「…?」
不意に呼ばれた気がした。
この建物の中にだ。
戸惑いもあるが好奇心がそれに打ち勝ったのか、僕は建物の方へ歩んでいった。
「…看板?」
途中、古びた看板が目に入る。
「何々?」
【太陽の図書館】
少し風化がヒドく、見にくくはあるが確かにそう書かれていた。
図書館?
こんな荒野の真っ只中に?
…不自然過ぎないか…?
だけど中に人がいる可能性がありそうだ、ここは何処なのか、どうすれば帰れるのかを聞く事ができるかもしれない。
ギィ…
古めかしい音を立てて扉が開く。
「すみません…」
呼びかけてみるが反応はない
明かりもなく外からの光のみの薄暗い部屋、薄暗いためか奥までよく見えない。
「すみませーん」
扉を固定し中に入る
「すみませーーん!」
誰も居ないのだろうか、返事も無く、たた僕の声が無情に響くだけだった。
「お尋ねしたいことがあるんですがー!」
やはり人はいないのか…?
「マジかよ…」
ここで手がかりが掴めると思ったのに…
なんか泣きそうになってきた…
しかも何か此処…出そうだし
自慢では無いが僕はこの手の…要するにホラーやオカルトなんてものが大嫌いだ。
卒倒する自信がある。
だから外に出ようとした瞬間だった、急に固定していたハズの扉がバタンと閉まり外から入っていたハズの光すら消え失せる。
暗闇だ。
見えもしないのに辺りをキョロキョロと見回す、内心焦りつつもどうにか平静を保とうとするが徐々に鼓動が大きくなっていく。
「いくら暗闇になっても扉はソコにあるんだ…」
怖い、とりあえずこんな奇怪な建物なんかとっとと出てしまおう
焦りを抑えつつ扉があった場所に手をやりノブを回そうとする…が
スカッ
「…え?」
手には何も掴めない。
さっきまでここにドアが…
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