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朝日の射し込みと共に俺は目を覚ました。
「ふぁあ~………まだ6時かよ。俺は柄にもなく入学式なんかで緊張してんのか?」
今言ったとおり、今日は高校の入学式の日だ。
俺は家から近かったのと、親友と同じという理由から市内の進学校でもある坂上高校を受験し、見事合格した。
親友の方もかなり努力して合格したようだが、俺は正直頭は良い方だからそれほど苦労はしなかった。
まぁ、何はともあれ親友ともども今日から坂上高校の生徒として通うことになった。
「………弁当と朝飯つくるか………」
俺は重たい足取りのなか台所へと行き、着々と作業をこなしていった。
弁当を作り終え、朝飯に取りかかろうとしたときに小さな足音が近づいてきた。
「コウ兄おはよう~」
「おはよう、太一。いま朝飯作るから、佳乃を起こして一緒に顔洗ってこい」
「う~ん、わかった~」
まだ寝ぼけた様子で太一は洗面所へ行った。
太一(タイチ)とは、今日から中学生になる俺の弟だ。俺と同じくサッカーをしていて、中学でもサッカー部に入ると言っていた。兄は俺しか居ないのに、なぜかわざわざ「コウ兄」と呼んでくる。
そして、佳乃(カノ)というのが小学五年の俺の妹だ。学校では優等生で成績も「5」以外見たことがない。
少しおっとりしててマイペースだが、そこがまた可愛い。
佳乃の方は俺の事をちゃんと「お兄ちゃん」と呼んでくれる。
別にそういう性癖がある訳ではないが、佳乃に呼ばれるとなぜか心が癒される
そんな事を考えていると、すでに太一と佳乃が居間で待っていた。
「コウ兄まだ~?」
「お兄ちゃん。佳乃おなか空いたよぉ」
「わかった!すぐ作るから待ってろよ、佳乃!」
「うん!お兄ちゃんありがとぉ」
「コウ兄、俺も居るよぉ!」
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