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「わかってるって!」
俺はさっさと四人分の朝飯を作り、うち一人分にはラップをかけて机の真ん中に置いた。
その一人分というのは母の麻紀(マキ)の分だ。
俺の母は仕事をしていて、帰宅するのが夜遅いから、朝は休ませるためにも早くには起こさない。
母は俺たちが学校に行った少し後には家を出て、夜中まで帰ってこないから当然家事は俺の仕事だ。
ちなみに父は佳乃が生まれてすぐに銀行強盗に巻き込まれて死んだ。
巻き込まれたと言っても、実際は人質だった子供の身代わりになり、不幸にも警察の突入に慌てた犯人の一人が持っていた銃を誤まって父に向けて撃ってしまったらしい。
ゆえに、母が女手一人で俺たちを養ってくれている。
「さぁ出来たぞ!」
「「いただきまぁす!」」
「お前たち、料理を見た感想とかなにもなしかよ…………いただきます」
我ながら良い出来だった。
食事を終え、それぞれ学校に行く準備をした。
「じゃあ、これが佳乃のお弁当だ。んでこっちが太一の」
「ありがとぉ」
「サンキュー」
お礼一つとっても佳乃が良くできた子だというのがわかる。
そして、残り一つの弁当をさっき作って置いた朝飯の横に置いた。
俺自身は元々学校の購買で昼飯を買うつもりだったし、今日は俺たちの高校は授業は無くて、半ドンらしいから弁当はいらない。
「「「いってきまーす」」」
俺は佳乃と太一と共に家を出た。
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