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一人の少女が、自分の通う学校までの道程を歩いている。
すれ違う数人の男子高校生は、彼女に目を奪われていた。
それでも、ただ見つめることしか出来ないでいる。
どこか、人を寄せ付けない雰囲気を纏った彼女は、彼らに目もくれない。
ただ自分の足を進めるだけだ。
彼女の名前は、中根 真夜。
腰まで伸びた、艶やかな黒髪。
それと同じ色の、陰のある瞳。
薄く、自然な色の唇。
透き通った白い肌にそれらがバランス良く置かれているのだから、誰もが彼女を見ては感嘆の溜息を洩らす。
それに彼女は気付かない。
無表情を顔にはりつけている。
思うことは、唯一つ。
“また一日が始まった”。
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