北極星

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 二年前、真夜は高校生になった。 両親は二人の姉と共に、数年前に他界。 その時、父の運転する車に乗り合わせていなかった自分だけが生き残った。 母方の親戚に預けられるも、折り合いが悪く、高校進学と同時に一人暮らしを始めた。  元来、人付き合いが苦手だった。 何がきっかけか、そんなものがあるのかどうかすら判らないが、言葉が出てこない。 意思の疎通が図れない。 そんな彼女に両親は無関心だったし、オールマイティーで、彼女とは違い、愛嬌のある姉達は、彼女を欠陥品のように見ていた。 真夜は、そこにいながら、そこにはいなかった。  あの日、名ばかりとは言え、家族を失った日。 その時も、いつものように彼らは仲良く買い物に行っていた。 出掛けに、とりあえず誘うだけ誘われた彼女は、例のごとく首を横に振った。 そして四人皆何も言わずに家を発った。
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