北極星

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 何も変わらない日常のはずだった。 それが突然、四人は仲良く遠くへ去ってしまった。  真夜は涙を流さなかった。 ただ、なぜ自分ではなく彼らだったのかと思うだけだった。  人は、真夜を“非情”だと罵った。 少しも笑わず、家族を失ったというのに泣きもしない彼女を、“人間の皮を被った悪魔だ”と。 それでもなお、何も感じない自分は、生きながら死んでいるのだと考えた。  死のうと、何度も試みた。 心に痛みを感じない自分は、生きている価値は無い。 それならば、いっそ、死んでしまおう、と。 親戚の家の二階から飛び降りたし、階段で首を吊ったこともあった。 手首を剃刀で幾重にも切り付けた。 だが、死なせてはくれないのだ。 出血多量だろうが意識不明になろうが、しまいには目が覚めてしまう。 人気の無い所で事に及んだはずなのに、いつの間にか病院に搬送されてしまっている。
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