君の名前はサブロー

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 帰宅が終電をとうに過ぎた頃になる日が、週3日を超え始めた頃。その日はいつもより飲み過ぎて、千鳥足でタクシーを降り、鞄の中でどこかへ行ってしまった鍵をガサガサ探していた時だった。 「……けてぇ……」  何!?   一瞬聞こえた物音に、体が硬直する。  一昨年のストーカーの事を思い出して、慌ててオートロックを解除しようとしても、指が思うように動いてくれない。  どうしよう……どうしよう。  焦れば焦るほどうまくいかなくって、ピーっとERRORの文字が赤く浮かび上がる。 「もう……やだ、何で?」  その時、背後で何かが動く気配がした。  冷や汗が全身にどっと溢れたとき、ハッキリとした声が耳元で聞こえた。 「腹減った……たすけてぇ~」    びっくりして振り返ると、どろどろに汚れた服を着た、小汚い少年が一人、長い前髪の隙間から、虚ろな目をしてあたしを見つめていた。
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