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時刻は夜中の10時を過ぎた。
一般人ならもう寝てるか、もしくはその仕度でもしているだろう。
それでも、あらゆる色に彩られたネオン街は決して眠る事無く、今日も多くの人々で沸き返っている。
その内の一人である青年、青山龍(アオヤマ リュウ)は、愛機の赤いフェアレディZ(Z31)のボンネットに腰を下ろし、吸っていたタバコの煙と共にため息をついた。
彼はある人物を捜していた。
それも数日では無く、10年前から。
彼の年齢は現在23歳。
すなわち13歳、中学1年の頃から捜し続けているのだ。
だが懸命な捜索も虚しく、手掛かりが無いまま時と年月は過ぎていった。
しかしある日、龍の元にある情報が入った。
南エリアで似たような人物を見た。と。
すぐにホームである北エリアから反対側の南エリアへ飛んだ。
だが、それでもその人物が見つかる事は無かった。
「ったく、どこにいんだよ・・・。南エリアっても、かなり広いぞ。」
つい独り言を漏らしてしまう。
まるで雲を掴もうとしているようだ。
唯一の手掛かりが南エリアにいると言う事だけで、その他のヒントは無い。
そんな時、ズボンのポケットに突っ込んだケータイから龍のお気に入りの着うたが流れた。
発信元は、龍の双子の妹、青山空(アオヤマ ソラ)からだった。
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