ささやかなる幸せの言葉

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クリスマスイヴ、外は粉雪が舞っていた 私は嬉しくなって外に出た黒のニット帽と黒の手袋をして公園に行く 寒さで赤くなっていく頬に温かい手が… 振り向くとヒョウがいた 『寒くないの?』とヒョウは私に自分のコートをかけてくれた 『そんな事したらヒョウが寒くなる』 『大丈夫…』久しぶりに見るヒョウの顔は少し大人っぽく、いや男っぽく見えた 部屋に戻り、二人でココアを飲んだ 『私来年、個展開くの』 『すごいね、いつ頃?』 『わからない。まだ二つしか出来てないもの』 そう言ってヒョウに絵を見せた 『絵が変わったね…色が前より綺麗になった。澄んだ空気の中で見る色みたいだ』 『ヒョウはなんとなく…男っぽい感じになった』 『そうかな…自分ではわからない。あのね…しばらく海外にいた』 『どこにいたの?』 『ヨーロッパ。のばらも行くといい…教会や古い町並みみて、これのばらが絵にしたらすごくいい作品ができると思った』 『ヨーロッパか…一度だけ行った事あるな。18の時。あの時はあまり建物には興味なかったけど、今なら描けるかも』 18歳の時、これも勉強だと石橋先生に連れていってもらった 『のばらはますます綺麗になったね…いいセックスしてるの?』 『してるよ(笑)』 『どんな顔するんだろ』 『知らないわ(笑)鏡で見てるわけじゃあるまいし』 『そうだよね』 部屋に二人の笑い声が響いた
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