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私達が帰ろうとするとき、龍平先生と担当の人が通りかかった
私達は軽く会釈したが、少しぎこちない
それを見て石橋先生がくすりと笑った
その時だった、バタバタと走る足音が聞こえたかと思うと、髪を振り乱した女性が半狂乱で入って来た
両手に光るものを持っていた。ナイフ?
『私の物にならないなら殺してあげる!』と龍平先生に向かって走ってきた
先生はまるで受け止めるような体制で立っていた
私は石橋先生と田中さんを払いのけて、龍平先生の前に走っていった
お腹に冷たいものが入っていく…私は力を降り敷きって、彼女を私から離した
『私が…スランプで…ここで発作的に自殺した…この人…関係ないから…事件じゃない…私の自殺』私は凶器をいっそう深く自分の中に入れた
私はもうそれでよかった…ただヒョウが…ヒョウが心配だった
『お願い…ヒョウの事…頼みます…』
薄れていく意識の中で私は桜より、ヒョウを心配した…
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