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教会の鐘の音が聞こえる
18の時、石橋先生に連れていってもらった教会の前に私は立っていた
こんなところに桜なんかあったっけ?
桜吹雪の中に私がいた
私は石の階段に座ると、大好きなコブクロの『桜』を歌っている
これから先、私の事をみんな思いだしてくれるのかな?
歌詞のように、ヒョウは桜の花びら散るたびに私を思い出してくれるのだろうか?
個展…できなくて残念だったな…
『のばら…のばら』
ヒョウの声が 聞こえてくる。返事したいけど声にならない…
雲の上にいる私と下界にいるヒョウとはもう会話はできないんだな…
『のばら…僕の手を握るんだ』温かい手の感覚に私は目を覚ました
グレーの瞳のヒョウが私を見つめていた
『まだしゃべったらダメだよ…』
私は…生きていた…
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