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ヒョウ
退院の日、ヒョウは車椅子で私を公園に連れていってくれた
もう桜も散り始めていた
『ただいま…ごめんね、会いにこれなくて。私の事想っていてくれた?』と私は桜に話しかけた
しばらく私とヒョウは桜を眺めていた
部屋に戻るとヒョウは私を抱き上げてベットに座らせた
そして服を脱がせてまた私を抱き上げるとバスルームに連れていった
ヒョウも裸になり私の身体を丁寧に洗ってくれた
『病院より、家のお風呂がいいだろ?』
『うん、ずっといい』
髪も洗ってもらって二人でバスタブに入った
『のばらと入るのは久しぶりだ』
ヒョウは嬉しそうに言った
お風呂を出てまたいつものように髪を乾かしてもらった。この時だけは私も子供のようになる
パジャマに着替えて、私をベットに寝かせた
『のばらがよくなるまで、どこも行かないよ…』
『無理しなくていいよ。ヒョウは猫なんだから自由にしたらいい(笑)』
『のばら…僕の仕事とか気にならない?』
『あ…ごめん、気にしたことなかった』
『あの夜、僕は仲間と飲んでたんだ…一人の仲間が喧嘩になって僕が止めに入ったら反対に僕が皆にやられちゃって(笑)行き着いたのがあの場所だったんだ…』
『私お腹蹴っちゃったよ(笑)酔っ払いだと思って』
ヒョウはクスクス笑うといつにもなく自分の事を話し始めた
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