ヒョウ

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ヒョウは私のCDの棚から何枚かのクラシックのCDをだしてきた 『このバイオリン弾いたの僕なんだ』とニッコリ笑いながら言った 『僕はバイオリニストなんだよ』 私は意外な言葉にびっくりした。音楽室の匂い…私はホントに鼻がきく(笑) 笑う私をヒョウは見つめて『そんなのばらが大好きだ』と言った 『子供の頃から神童と呼ばれ、ただバイオリンだけ弾いてきたんだ。幸せだったし、楽しかった。ヨーロッパで暮らしてもいた コンテストも賞なんてどうでもよくて、弾けるだけでホントに幸せだったんだよ』 16歳の自分がダブってみえる… 『日本に帰り音大にもいき、また留学したころからなんとなく歯車が狂ってきた…コンテストでいい賞をとることが当たり前だったのがそうでなくなってきたんだ… 僕より上手い人達がたくさんいて、僕はいつも二番手、三番手…コンサートにもプレッシャーがかかり散々な評価を受けて、正直死にたくてしかたなかった。安易に自殺はかったこともある あの日ももうバイオリンなんて見たくもなくて、音大の仲間と飲みに行ってあのザマ(笑)』 私と同じ思いしたんだね…私より繊細な人なんだ 私はヒョウを抱きしめた
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