静寂な時

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ヒョウのコンサートを聴きに行った 素晴らしい演奏だった 才能溢れる音、観客を掴む弾けるような音 舞台のヒョウは別人だった 私は楽屋に行く事はせず真っ直ぐに帰った もちろん桜にヒョウの報告をして… マンションに帰ると石橋先生から電話があった 『のばらどこか行ってたのか?電源切って』 『コンサートよ。今マンション帰ったとこです』 『珍しいな(笑)コンサートなんて』 『言われると思った。だから内緒にしてたのに(笑)』 『なあ…のばら』 『どうしたの?先生』 『龍平君に会ったらしいな。いろいろ話ししたんだって?』 『龍平先生に会ったんですか?』 『うん…話しは聞いたよ』 『悪い女だと思ってください。そうやって私は生き延びてきたんですから…』 『今から出れるか?あの店に来てる』 『わかりました』 そういうと私は急いでその店に行った 先生と食事する和食の店 京都に本店がある有名な料亭だ 先生のお気に入りの部屋があって、そこに通された 『のばらの好きな冷酒だ。まず飲みなさい』 と小さなグラスに冷酒を注いでくれた 私はぐっと飲み干した 『美味しい』と私は笑った 『俺はのばらが悪い女だなんて思った事ないよ。純粋で素直な女だ。人を助けるのを本能でできる女だ。計算もしない…駆け引きもしない…』 私は先生にお酌した 『龍平君はそんなお前に心底惚れたんだろうな…わざとへこませるような事言ったんだろ?』 『言いました…』 『彼に言ったんだ。のばらは誰とも結婚はしないよって(笑)納得して笑っていた』 お節介な先生…(笑)私は嫌われてよかったのに
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