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慌ただしく個展の準備が始まった
30作品…私がパリで描いたものばかり
期間も一週間と長かった
正直不安があった…みんなどう評価してくれるのだろう?
私の心情わかってくれる人はどれくらいいるのだろうか?
そんな気持ちと裏腹に、個展には大勢の人がきてくれた
龍平先生もきてくれた
『久しぶり。またよくなったね。いろんな表現できるようになってる』
『ありがとうございます。先生もご活動ですね。テレビ観ましたよ』
『恥ずかしいな…最近依頼多くて…詩やらエッセイやら書いてるよ』
『充実してるんですね』
『今日はもう買う絵は決めててオーナーには話してる』
『どの絵ですか?』
『バイオリンの絵だよ。のばらの身体に似てる(笑)あの光りがまるで濡れてるみたいだ』
『さすがですね。あれは私自身です。一輪の薔薇は私の腰のアザです』
『綺麗なアザだった(笑)綺麗過ぎて触れる事できなかったよ。禁断の薔薇だと思った…あれまで愛してしまったら俺はここにいない』
先生も気付いていたんだ
石橋先生は反対に薔薇を選んだ
そしてヒョウは両方選んだ…ヒョウだからこそ私は許した
今回も絵は完売した
のえる先生もきてくれて買っていったのを私は知った
後日、先生の家にお邪魔した
旦那様と娘さんが私を温かく迎えてくれた
その絵は私が決して描く事がなかった桜の絵だった
小さな桜の木が一生懸命に花を咲かせてる。そしてその下で黒猫が二匹昼寝をしている…
『こんな綺麗な桜の色みたことなくて…のばらちゃんの今までにない色だと思った(笑)この猫は前の画集の猫だよね。パートナーできたみたいで私もうれしくなった』
無邪気な笑顔で先生は言った…
わかってくれてる…
みんな私の心情わかってくれてるんだ…
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