現実と幻想の境目

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  三十秒後、また俺の机に紙が返ってきた。 【この授業が終わったら屋上に来てください。】 おいっ、俺からの質問は無視かよ。 又もや感情やら社交性やらが皆無の文章にムッと来たが、何故俺の名前を知っているのか、何故俺なんかを呼び出す必要があるのか……‥。 幾つかの疑問が残る故、頭の隅にこびり着き、その要望は中々無下に出来なかった。 キーンコーンカーンコーン――…‥ (……っと、終わったか。) 丁度ノートを写し終わった瞬間に一限目の終了を知らせるチャイムが鳴り、一息つく。 隣りを見ると女の子の姿は消えていて、ちゃんと授業内容を書いていたノートは、提出されずに机の上に放置されていた。 (屋上への呼び出しは本気だったのか?) 先程の紙を見直しながら、そんな事を考えてみる。本気と言うなら正直迷惑な話だ。屋上まで行ったら次の授業の遅刻は確実だからな。 が、そのままにしておくのも相手に酷だし、何より、俺自体がちょっと気になる。 「……はぁ…」 何度めかのため息と共に俺は思い腰を上げた。  
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