現実と幻想の境目

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  考えてみれば、只のいたずらだではないのか、屋上へ通ずる扉を前にこんな思考が過ぎる。 ……が、もっと考えてみれば、多分それは無いだろう。善いも悪くも……まぁ俺にしてみれば果汁100%で悪いのだが、俺の不良疑惑は、ウチのクラスだけでなく本校全体にまで響き渡っていた。(思わず喧嘩現場を目撃された事もある。) だから俺にいたずらなんてする奴はいないし、今日きた転校生でも少なからず俺の噂を聞いているだろう。 俺の名前を知っていたのもそのせいかも知れない。 「…考えててもしょうがねぇ、な。」 こうやってウジウジと考え込ものは俺の悪い癖なのだろう。 自分のネガティブな所を一瞬垣間見てしまった事でうやむやが増してしまった俺は半分腹癒せ変わりに勢い良く扉を開けた。  
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