現実と幻想の境目

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  「遅い!」 扉を開けて、いきなりの第一声がこれだった。怒の効いた声の発信源を辿ってみると、額に青筋を立てた転校生が屋上のど真ん中にいた。 そんなに遅れてきた訳じゃないと思うが、俺も。 と言うか、ほんの十分間しかない短い休み時間を利用して呼び出しているんだ。遅れる筈がないだろう。 「悪い、遅れた。」 カンジ悪く、ムカっ腹が立ったので棒読みで言ってみた。 だが相手は出方を変える気配は一向に無い。 「なんか、俺に用か?……ていうか、お前誰だ?」 あちらから先に話を切り出される前に、こちらの要件を言った。 この調子で向こうのペースのまま持っていかれると、俺からの話を切り出せないままこの恋愛的要素の全くない密会が終わるビジョンが、リアルに連想出来てしまったからだ。 「なんで、アンタみたいな白髪の質問に答えなきゃならないのよ。」 ………Oh、ジーザス。  
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