現実と幻想の境目

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  学校へと続く急斜面な坂道を、道の両脇に立ち並ぶ桜の木を眺めながら、俺は自殺願望者の様に重い足取りでトロトロと登校していた。 入学してまだ一ヶ月も経過していないにも関わらず、俺の遅刻日数はすでにグロッキー状態。 理由は正しく例の如くなのだが、担任に理由を聞かれて、『この外見のせいで喧嘩売られました~』なんて言ったら、そのまま生徒指導室に連行されるのは目に見えているので、敢えて伏せている。 (けど、どうにかしねぇとなぁ……‥) 門をくぐって校内に入り、靴を履き替えたあたりでため息をふかしながら、俺は思った。……が、面倒くさいので三歩進んだ辺りで考えるのを止めた。 昇降口から教室までの距離はわりと短いので、直ぐに教室までたどり着く。 でも、このまま無表情で扉を開けても不良みたいな外見の俺だ。きっと皆から怖がられるだろう。 よし、ここは一つ、笑顔で行ってみよう。以外とウケがいいかもしれん。 「おはようごさいまーす。」 俺は白々しい作り笑いを装着して、教室の扉を開けた。  
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