現実と幻想の境目

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  周りは硬直した。 原因はもっぱら俺。 そんな猪口才な小細工をした所で、やはり現実の厳しさは変わらなかった。いや、むしろ俺の不気味な作り笑いによって悪化してしまったのかもしれない。 俺は涙腺が緩みそうになりながらも、頑張って笑顔を貼り付けたまま立ち尽くしていた。 「……あ、あぁ浜月、ち、遅刻か?」 「あ、はい、すんません………。」 暫くして授業担任が一言、クラスメイトは皆俺から目を逸して、気まずい雰囲気がその場に充満した。 (俺ってもう、いない方がいいんじゃねぇか……‥?) そんな思いがふと浮かんだ俺だが、今は嘆いても仕方ない。ずっと突っ立っている訳にもいかないので、俺は自分の席へ、歩を進めた。 (…あれ?) と、ここである事に気付く。 入学当初から空き席だった俺のお隣に、見知らぬ女の子が座っていたのだ。  
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