現実と幻想の境目

8/22
前へ
/159ページ
次へ
  (……転校生か?) そう考えるのが、一番自然だろう。俺は自分の机に座り、急いで鞄から教科書とノートを取り出しながら、横目で隣りの女の子を見てみた。 俺は初見してみて少し驚いた、その女の子が美人とか可愛いだとかのベターな理由じゃない。 いや、十分驚いて良いほど女の子の横顔は綺麗に整っていて、美人ではあるのだが、俺が驚いたのはもっと別の所だった。 ウェーブのかかった長い黒髪を後ろで束ねている所、普通に日本人だと思っていたのだが、その澄んだ瞳は日本人では有り得ない青色をしていたからだ。 一瞬惚けて、アホらしい顔をしてしまったが、俺も人の事を言える程普通な容姿をしていないので、気にしない事にした。 もう一限目も後が少ない、遅刻もしてるし、せめてノートだけでも完璧に写そう。 そう思い、俺は女の子から目線をノートに移し、筆箱からシャーペンを取り出す。 ポトッ 「………ん?」 すると、俺の視界にあるノートの上に、四つ折りにされた紙の切れ端が隣りの席から投げ入れられてきた。  
/159ページ

最初のコメントを投稿しよう!

68人が本棚に入れています
本棚に追加