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「何で話かけなかったんだよ!バカ御景~!!」
俺の目の前で自前の弁当をパクつきながら、悪友の彰太がデカイ声を上げる。
「あーもう。うるせぇな!んなデリカシーのない事できるかバカたれ!!」
俺の目の前にいるこの優男は前田彰太。生粋のバカだ。
もう産まれた時から知っているが、テンションが無駄に高いのと顔がまぁまぁいいのを除くとなんにも残らない……。
まぁ反省しない所と俺には真似できない行動力は感服するが、それ以上はこいつに求めてはいけない。
「デリカシーじゃないだろ。御景は度胸がないんだよ」
「だろうな。ミーは度胸がないからな」
そう横から口を出してクックックと不気味に笑っているのは東城龍一。
こいつもロクでもない俺の悪友だが、彰太と違ってバカかと思う程頭がキレる。
俺の変な名前を親以外でミーなんて呼んでるのはこいつくらいだ。
「度胸がないってどういう意味だ!度胸がなかったら剣道なんかできないだろうが!!」
「まぁそりゃそうだが、剣道で相手をブチのめすのと女の子に話かけるのは度胸の種類が違う」
そう言って龍一はニャッと笑った。
うっ……。
こいつがこんな笑い方をする時は大抵とんでもない事を考えてる時だ―――。
「龍、その度胸ってなによ?」
そう思った矢先に、彰太のバカが龍一に突っ込みやがった。
「―――ん?それはなこのミーには女の子に話かけようとする根性もなければ、話そうと言う努力もない。つまりヘタレって事よ」
そう言って龍一は爆笑しやがった。
クソッ……。
勝手に俺をヘタレ扱いしやがって!!
「ふざけんな!!俺だって女子と話くらい―――」
「おやぁ――?黒神御景くんは本当にそんな経験あるのかなぁ?」
そう言って龍一はニタニタ笑いやがる……。
こいつは学年トップでルックスもいいだけあって、やっぱりモテる。
だが納得いかないのは彰太だ。
こんなアホのクセに毎日毎日彼女の話を俺の前でしやがるから腹が立つ!!
ふと前を見るとアホ彰太は話に飽きたのか、席をたっていなくなっていた。
クソッ。アホ彰太め、いつか反撃してやる。
そう思っていたら龍一の野郎にガシッと肩を掴まれた。
「とりあえずミーよ。放課後そのコンビニ行ってみようぜ。もしかしてその稜星学園の子通るかもしれないじゃん?」
クソ~。
このサディストめ。
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