序章 黙示録 Apocalypse

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激しい揺れと暗闇の中、俺は父に抱き締められ明治神宮の参道を人混みをかき分けながら進んで行った。 周囲には何かに怯える声と父に対する罵倒が聞こえる――。 父はそんな事はお構いなしに半ば走りながら長蛇の列を逆走して行く。 俺の顔のすぐ横で父の荒い呼吸と、すみませんという声が響いている。 ざっと100m程進んだ時だろうか――ついに恐怖に押し潰された参拝客の女性が金切り声を上げた。 次々に伝播する悲鳴と怒号――そして泣き崩れる声。 その混沌とした空気の中、父は黙々とただひたすら走り続ける。 やがて客の一人が口火を切り叫んだ―― 「――に、逃げろぉぉっ!!」 その瞬間、周囲の雑音は一斉に爆発した。 老若男女問わず、誰もが叫びながら一斉に参道を走り出す。 その大混乱の中で、父は後ろから突き飛ばされバランスを一瞬失った。 そして―― その時俺は見てしまった。 この世界に突如降ってきた恐怖の原因を―― そして、一生忘れられぬ傷として俺の記憶に焼き付けられた光景を―― 空が――いや 天が……堕ちてくる光景を――。
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